ポートフォリオ効果を得るためのEA開発の方針

EA開発・運用

EAのポートフォリオ効果とは

「卵は一つのかごに盛るな」という投資の格言があります。

「卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合には、卵が全部割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けておけば、仮に一つのカゴを落とし、そのカゴの卵が割れて駄目になったとしても、他のカゴの卵は影響を受けずにすむ」というもので、特定の銘柄1つのみに投資するのではなく、複数銘柄に投資を行い、リスクを分散させるべきという教えのことです。要は、分散投資ですね。

主に株式投資の世界で言われていることですが、これをEAによる自動売買の枠組みに転用し、複数のEAを同時に稼動させ、1つのEAにリスクを集中させずに運用を行うことで、リスクを抑えることができます。

単一のEAのみで、長期的に好成績を上げ続けることが難しいことは想像に難くないと思います。なぜなら、どんなEAにも得意相場、苦手相場があり、好不調の波があるからです。

特性の異なるEAを複数組み合わせることで、不調期を最短で乗り切り、回復を早くすることで、安定した運用ができるようになります。これが、EAの自動売買におけるポートフォリオ効果です。

ポートフォリオ効果を得られるEAを開発するための方針

本サイトでは、すでに世の中に存在するEAの中からいくつか選んでポートフォリオを構築する、というのではなく、組み合わせることでポートフォリオ効果を最大限得られるEAをこれから開発しようとしています。私の基本的なEA開発のスタンスは、こちらに記載しています。

どのような方針で、複数のEAを開発していけば、ポートフォリオ効果を得られるものとなるか。正直な所、答えは持ち合わせていませんが、これからEAを制作していくにあたって、何らかの指針は必要でしょう。ということで、以下の3つの方針を定めておきたいと思います。

方針①:異なる通貨ペアをターゲットにする

タイトルの通りです。
すでにEURUSDのEAを開発済みであれば、USDJPY等それ以外の通貨ペアをターゲットとして開発を進めることとします。

方針②:同じ通貨ペアでも、異なる時間足をターゲットにする

こちらもタイトルの通りです。
EURUSDの5分足のEAを開発済みであれば、同じEURUSDでも15分足、30分足、1時間足、4時間足等、異なる時間足をターゲットとして進めることとします。

方針③:同じ通貨ペア、同じ時間足でも、「異なる特性を持つこと」をターゲットとする

「異なる特性を持つこと」とはどういうことか。二つの観点から定義しておきたいと思います。

観点1:EAのタイプの違い

一つ目は、EAのタイプの違いです。EAのタイプには、大きくグリッドタイプトレードタイプの2つがあります。

グリッドタイプは、相場の等間隔の値幅でポジションを持つEAです。相場の値動きを予測するのではなく、予め仕掛けた価格でエントリーするため、相場の影響を受けないのが特徴です。いわゆる、ナンピン系、リピート系と呼ばれるものがこちらに該当します。

一方トレードタイプは、相場の値動きに応じてポジションを持つEAです。レンジに対する逆張り、トレンド方向への順張り、スキャルピング、スイングなど様々な言い回しがありますが、それらはこちらに該当します。

この二つのタイプは戦略がそもそも異なるため、タイプが異なれば、「異なる特性を持つ」こととします。

観点2:勝率とペイオフレシオの組み合わせの違い(トレードタイプのみ)

トレードタイプは、さらに細かく特性の違いを定義しておきたいと思います。

トレードタイプのEAは、同じような勝率、ペイオフレシオのEAは、似たようなロジックを採用しており、似たパフォーマンスになりやすいという傾向があります。

もちろん例外もありますが、勝率が60-70%超えてペイオフレシオが1.0を下回るようなEAには、小さな利幅を狙うスキャルピング型の傾向がありますし、逆にペイオフレシオが1.0を超えてくるEAは、大きな利幅を狙うトレンドフォロー型の傾向が強いと言えます。

このため逆に、勝率とペイオフレシオが異なるようなEAをターゲットとすれば、異なるパフォーマンスが得やすいのではないかと考えました。

そこで、ここでは下図の「勝率ペイオフレシオの組み合わせが異なるゾーン」に位置する場合は、「異なる特性を持つ」こととしたいと思います。同じ通貨ペア(例えばEURUSD)で、同じ時間足(例えば5分足)のEAを開発済みであれば、同じEURUSDの5分足をターゲットとしたEAを新たに開発する場合でも、勝率とペイオフレシオの組み合わせが明らかに異なるEAとなるように開発を進めていくこととします

ペイオフレシオとは
勝ちトレードの平均利益と負けトレードの平均損失の比率を求めたもの。「損益率」「損益レシオ」「リスクリワードレシオ」とも呼ばれる。
計算式は、ペイオフレシオ=平均利益÷平均損失
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